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毎回、様々な業界でご活躍のかたにご登場頂き、様々な角度からお話を伺っております。

青木純子さん プロフィール

津田塾大学英文科卒。
園芸家、写真家。

京都市南部の自宅の庭で300種類の宿根草や花木を育てている。 草花を庭で楽しんだ後、生花のアレンジやドライフラワー、押し花、写真でもう一度花を楽しむアフターガーデニングを提案。

著書に「KANTANでも素敵なドライアレンジ」(淡交社)、「アフターガーデニング」(主婦の友社)がある。

[ ホームページ ]
http://www.j-aoki.gr.jp/


 

園芸家であり、アフターガーデニングという花の楽しみ方を提案している青木純子さんは、私が留学したアメリカ、ウェスタン・ワシントン大学時代の友人です。銀行で融資担当のディーラーとして働いていた彼女が、全くジャンルの違う園芸の道に進んだ理由や、アフターガーデニングの魅力について伺いました。青木さんが選んだ園芸家という仕事のあり方を通して、好きなことを仕事にするためのひとつのヒントに触れたような気がします。
(インタビュアー M&PI 桃原則子)

001. 為替ディーラーからガーデナーへの転身

桃原 そもそも銀行でディーラーをやっていた青木さんが、園芸家になったと聞いてすごく意外でした。留学していたときも園芸に興味があったなんて聞いていませんでしたし、なぜガーデニングに関わる仕事をやろうと思ったんですか?

青木 そうでしょう(笑)。実は植物が好きだったんですよ。でも若い頃はそれを仕事になんて全然考えていなくて、大学 をでて東京で外資系の銀行に勤めていました。華やかな世界にあこがれていたんですね。けれども仕事を続けているうちに、これでいいのかな・・・と思い始め たんです。

桃原 ガーデニングをやりたくなったとか?

青木 いいえ、仕事が自分の器を越えていると感じたんです。やりがいも責任もあったので楽しかったのですが、1分1秒 を争う殺伐とした中で働くのは、体力的にも精神的にも若いうちでなければ無理だと感じました。それに、その仕事では自分で作るもの、生み出すものがないん です。結局何かを作りたい人間だったんだと思います。

桃原 挫折感のようなものがありました?

青木 ありましたね。どうしたら擦り切れていく自分を止められるのだろうかと考えました。それで結婚が決まったのをきっかけに寿退社という形であっさり仕事を辞めました。

桃原 この仕事は違うかなと思った時と、結婚のタイミングが同じだったんですね。

青木 結婚が決まったら退社するのが自然の時代でもありましたしね。でも何か新しいことをやりたいとも思っていたので、とりあえず外資系の銀行に勤めている主人に『ロンドンに転勤の希望を出して』と頼んで、行くことになりました(笑)。

桃原 それが叶うなんて強運! でも当時は結婚したらそれで上がり、っていう人も多かったはずで、何かしようと思うのはやっぱり人とは違っていたんですよ。

青木 私だって何をしたいのかわからなかったんですよ。再び組織の人間としてやっていけるかどうか・・・。答えは ノー。じゃあ起業したいのかというと、それも違う。そんなことを考えながら、ロンドンで毎日美術館やミュージカルを見たり、公園を歩いて花を眺めたりして いましたね。

 

002. きっかけはガーデニング本の翻訳

青木 そうしているうちに帰国して京都で暮らすことになり、子供がいてもできる翻訳をやってみようかと考えました。どうせ訳すならば一番興味があるテーマを、と思ってガーデニングの本を選びました。

桃原 そこでガーデニングが登場するんですね。

青木 もともと実家の母は園芸が好きだったんです。小さい頃から、庭に洋風コーナー、果樹コーナー、切り花コーナーな どを作っていたのをずっと手伝わされていました。当時はいやで逃げたくってね(笑)。それなのにロンドンに暮らしているうちに、ナショナルトラストの活動 なども含めて興味が湧いてきたんです。

桃原 それで翻訳を始めて・・・。

青木 選んだのは、ジョアナ・シーンという押し花作家の本でした。私は以前から長い時間かけて育てた梅や松などの枝や 花を、簡単に切ってしまうフラワーアレンジメントや生け花に違和感を抱いていたんです。それは育てていないからできるのではないかと。でもシーンさんは 違っていて、大事に育てた花を大切にしながら楽しそうに押し花を作っています。そんな考え方も含めて日本に紹介したいと思ったんです。

桃原 日本では、花や枝はあくまでも素材、という考え方なのですね。

青木 自分が愛しんで育てたものは世界にひとつ。だからこそ大切に使うという考え方がしっくりきたんです。例えば日本では日本庭園などは別として、公園を作ったらそれでおしまい、というのが主流だと思います。

桃原 その点、イギリスで手入れの行き届いた公園が多いですよね。

青木 イギリスでは、公園も個人の家も作って終わりではなく、作り続ける文化があります。それが日本人には欠けている、と感じたんです。その心を伝えたいと思い訳し始めたのですが、3章くらい訳した時に「何だ、簡単そうじゃない」と(笑)。

桃原
 やってみるほうが簡単そう?(笑)。

青木 ちょうどその時に幼稚園のバザーがあったので、庭で育てている花でドライフラワーを作ってアレンジメントにしてみたんです。その評判が良かったので続けてみようと決めました。

 

003. ロハスなアフターガーデニング

桃原 それが今では、「アフターガーデニング」という本まで出版するようになったんですね。アフターガーデニングって初めて聞くんですが、みんな知っていることなのかしら?

青木 いえいえ。「アフターガーデニング」って私が言い出した言葉だから、よっぽどガーデニングに興味がなければ知らなくて当然です(笑)。

桃原 そうなんですか? 良かった(笑)。では、どういうものか教えてください。

青木 ガーデニングって一時すごいブームがきて、今はちょっと落ち着いた状態なんです。私は当時から、花を咲かせて「庭がきれいだわー」で終わりという楽しみ方はちょっと残念だなあと思っていました。大切に育ててやっと咲いた花だから、もっと長く楽しめないかと考えたんです。

桃原 なるほど。一般的なガーデニングとは違ったことが何かできないかと思ったわけですね。

青木 私は京都に住んでいるわけですが、京都では「しまつする」という、物を大切に使いきるみたいな考え方があるんで す。だから花も最後まで大切に「しまつ」したい。そこでまずは切り花にして楽しみましょう。その後はドライフラワーや押し花を作れば、もっともっと最後ま で花を楽しめますよ、という提案をしたんです。

桃原 それでアフターなのですね。

青木 読者の方から「アレンジや押し花をするために花を育てているんですか?」という誤解を受けるんですが、違いま す。ガーデニングはガーデニングで楽しみたい。私が切るのは乱れた株や飛び出した枝、陰になって育ちにくそうなものばかりです。それで生花のアレンジを作 り、そのあとでドライフラワーや押し花にします。最後の最後は、腐葉土にして土に返します。ドライフラワーというのは、余分な水分を吸い取ってくれるの で、腐葉土作りにぴったりなんですよ。

桃原 循環しているんですね。育てて、見て、作って、土に返す。持続可能という点ではロハス的な花の楽しみ方とも言えますね。

青木 ロハスなアフターガーデニング(笑)。ドライフラワーは電子レンジやシリカゲルを使って作りますが、そうするこ とで色が甦る花もあります。その不思議さに最初はびっくりしました。花も押し花に向くもの、ドライに向くものそれぞれ違いますし、ドライにする方法もいろ いろです。庭に咲く季節ごとの花を使って、その花を最も美しく見せる方法を探して試行錯誤を繰り返し、そして写真に残します。その方法を園芸関係の雑誌や 本で紹介しています