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ワーキングマザーに贈るインタビューをWEBで連載中!!

私はこうして乗り越えたを読む
 
ワーキングマザーに贈る 私はこうして乗り越えた

伊藤明子さんプロフィール

東京外国語大学在学中から通訳の道へ
様々な重要会議の同時通訳を数多く担当。
社会人を20年近く経てから医学部に入学、医師となる。
現在:東京大学医学部附属病院 小児科 医師
東京大学大学院 医学系研究科 公衆衛生学/健康医療政策 特任研究員
会議通訳者、有限会社アクエリアス 代表取締役社長
著書:「イタリアン・テルメ−自然の力で心身の癒しを」(共著)、「天然ヘルシー調和食レシピ」(キラジェンヌ)

 
 

インタビュアー(以下I ):まずは、伊藤さんの現在のお仕事について教えていただけますか。

 

伊藤:現在は、東京大学で研究員として週の約半分、研究室で研究業務を行い、そのほかは東大病院の小児科の外来、また、土日は会議通訳の仕事や一般小児の臨床(診療など)をしています。
今年度はこのような動きをしていますが、医師や研究者は毎年動きがあるので、来年度は診療が増えそうです。
気持ちの上では一に小児科医、二に同時通訳者、三に研究者です。
私が研究員として在籍している教室は公衆衛生学・健康医療政策という分野です。 これは人間集団・社会全体の健康を考えるという医学の中の一分野です。
そこには、食や栄養、水や空気、公害、社会保障システムなど様々なことが関係しています。
その中で、私は主に栄養や食を中心に研究しており、現在取り組んでいるのは「有機食品」(*1)と「くる病」(*2)です。

 

I:通訳から、医者というのは、大きなキャリアチェンジだと思いますし、その時期の伊藤さんは、お子さんも小さかったので、大きな決断だったのではないですか。

 

伊藤:医学部の受験は「大きな決断」ではなく、自分が臨床活動をしたいと思ったら人間の体の病態について勉強しなくてはいけないし医師免許が必要なのよね、という流れで受験しました。
医学部に入るにあたって子育てを後回しにするということもありませんでした。
また、通訳の仕事をしながらの医学生生活でしたし、今も会議通訳を続けているのでキャリアチェンジではなく、キャリアアッディング(career adding)だと思っています。

 

I:なるほど。お子さん達は医学部に入ることについて何か仰いましたか。

 

伊藤:医学部を受験することは予め言ってはおりませんでした。
合格証が届いた時、小学校二年生だった息子からは「僕の腕で注射の練習してもいいよ〜」と、上の娘は「新しい学校へ行ってもお友達がたくさんできるといいね」と言ってくれました。(笑)

 

I:ワーキングマザーでありながら学生となると、やはり家事も大変だったと思うのですが、工夫をしたり手を抜かれたところもありますか。

 

伊藤:掃除機は、毎日かけないけれど、料理だけは毎日しました。
洗濯は洗濯機がしてくれますし、外に干さないで乾燥機に入れて、乾いたものは畳まないで、各々で片づけるようにしていましたし、今もそうしています。
また、家事は女性だけがするものではなく、男女関係なく、暮らしている人がするものだと思っていますので、家族で協力して家事をしています。
そして、それが当たり前と思える様に、子育てをしてきました。
日本の女性は、男の子は家事をしなくていいように育ててしまいがちですが、男女関係なく、皆で家事をやるように子育てしていく事が大事だと思っています。

 

I:具体的にはどのようにしていけば良いのでしょうか。

 

伊藤:まず我が家では、子供が二人とも小さい頃から包丁をもたせて、料理が出来る子にしました。
自分で料理することで栄養についても理解が深まり、自分で調理できることが生きる力だと思っています。
これは、自分の患者さんたちにも勧めています。
自分で野菜を育てたり、切ったり洗ったり、食事に興味を持つ様になることが子供の生きる力に繋がると思うから、試してね、と言っています。

 

I:患者さんの話が出ましたが、最近の親御さんの子育てについてはどの様にお考えですか。

 

伊藤:情報過多ということもあると思うのですが、バランスのとれた子育てを出来ている人が少ないと感じています。 過保護になりがちだったり、あるいは、放任すぎたり。
私の研究にも関係してきますが、こどもにアレルギーがあるわけではないのに心配をして動物性蛋白質をこどもに食べさせない。
ベジタリアンでなくても、ベジタリアン食に近づいてしまう。
そうなるとカルシウム、リン、ビタミンDが不足して、栄養障害による病気が増えてきています。
ビタミンDは食からも得られる部分は限られていて、主に太陽の光が皮膚にあたることで体内で作られます。
今は子供に外遊びさせないなど、日にあたらせない事が多く、また最近は、赤ちゃん用、子供用の日焼け止めクリームがでていて、塗ってしまうとSPF15でもビタミンDは9割作られなくなります。
ビタミンD不足は、骨の健康に関するだけでなく、がんのリスクや自己免疫疾患のリスク、皮膚炎や発達障害のリスク等も上がりますので注意が必要です。
正しい情報を伝えていくことが重要だと思いますし、パパとママには、周りの雑音に流されないでポリシーをもって育てて欲しいと思っています。

 

I:ワーキングマザーであるということで、子供との時間がとれないと思っているお母さん達にアドバイスはありますか。

 

伊藤:お母さんが働いているからといって、母子のボンディング(Bonding)(愛着形成)ができないワケではありません。
家事は後回しにしてでも、短い時間でも向き合ってあげればいいと思います。
ご飯を食べる時には、他の事をしながらではなく一緒におしゃべりをしながら食べる、子供の話をよく聞く、子供と話をする、寝る前に読み聞かせする、お風呂に一緒にはいる、等々…。
後は、子供が話しかけてきたら、直ぐに耳を傾けることも大事です。
例えば、片づけをしているから待っててね、と言っていると、その間に子供は寝てします。
これでは、子供と過ごす時間が少なくなってしまいます。
そこは、手を止めて話を聞く。
これは子供のいいなりになるという事とは違います。
実は、働くママの子供のほうが学校の成績がよい、という研究データもあります。

 

I:最後にワーキングマザーもしくはそれを目指したいと思っていらっしゃる方々にメッセージをお願いします。

 

伊藤:いつ産むか、キャリアの為に産むのを遅らせようかともし悩んでいるのなら、先に産んで下さい。産んで欲しいです。
妊孕(にんよう)性という言葉があります。女性が妊娠する生理学的な能力のことです。
女性の卵巣の機能が35歳の時には一割しか残りません。女性は生まれたその時点で、一生涯排卵する数が決まっています。
芸能人では、30代後半、40代で出産する人もいるので、普通に産めるだろうと思うかもしれませんが、大きな間違いです。
35歳になったら、卵巣の機能はすでに9割方使用済で、残っている1割も老化しているので、障害リスクが2桁台で上がってきます。
キャリアの為に30代後半で産めばよいというのは大変なロスだと思います。自分自身も体力的に大変だし、そこから不妊治療をしようとしてもそのお金も労力も大変です。
20代で産んで、ママでありながらキャリアを積むことも出来るので、その道をお勧めします。
この様なことを、もっともっと伝えていく為には教育現場を含めていろいろな場面での情報共有だと思うので、自分の研究を含めて、有用な情報を共有できるように努めたいと思います。

 

I:今日は、興味深い話をありがとうございました。

 

(*1)「有機食品」についての研究 研究室のサイト 
http://www.publichealth.m.u-tokyo.ac.jp/

(*2)「くる病」とは 主にビタミンDの不足により骨が変形したり骨折や発育不良やけいれんがおきる病気です。離乳食が進まないまま母乳のみの場合(母乳のビタミンDが低い)や何等かの理由で食事制限をしていたり、かつ、日光を避けていると罹りやすくなる子供の病気です。