ビジネスインタビューBUSSINESS INTERVIEW

第7回

Diane Mary Foleyさん
玉載旭(オクゼウク)さん
Tongprasit Benjamasさん

Diane Mary Foleyさん プロフィール
アイルランド生まれ。
アイルランド・ダブリンシティ大学でドイツ語・スペイン語・ビジネスのコースを卒業後来日。愛知県の教育委員会で3年間勤め(JETプログラム)その後東京の日本企業でコーポレート・コミュニケーションのスタッフとして就業

玉載旭(オクゼウク)さん プロフィール
韓国釜山生まれ。
2003年韓国高麗大学電子工学部卒業後来日。2004年4月から東京大学大学院新領域創成科学研究科在学。モバイルネットワークなどを研究中。

Tongprasit Benjamasさん プロフィール
バンコク生まれ。
1999年4月タイの高校を卒業した後文部科学省の国費留学生として来日。東京大学工学部電子工学科を卒業、現在同大学院修学中。タイ語を教る他、翻訳、通訳に従事。
  1. 001. いろいろな国の言葉の学校があるのは日本だけの光景

    ダイアン

    私は、日本は8年目で、大学卒業してから日本に来て、ずっと日本で仕事を続けています。きっかけは、ジェットプログラムというプログラムなんですけど、ご存知ですか。文部省が国際交流を良くするために、各国から人を集めているのですが、私はアイルランドで、日本の大使館にエントリーして来ました。最初の3年間は愛知県の県教育委員会で仕事をさせていただきまして、で東京に移って、この3、4年間は日本企業で仕事をさせていただいています。

    オク

    はい。僕はあのう、去年10月から東京大学の大学院でモバイルネットワーク関連を研究しています。日本に来たのは、今回2回目で、最初は2001年、大学3年の時、交換留学プログラムを通じて早稲田大学で1年間勉強しました。それから韓国で大学を卒業して、今回は大学院への進学という形で、また来日しました。

    ベン

    えーとベンです。タイから来ました。タイで高校を卒業して99年から来まして、1年目は日本語学校に通ってて、その後は大学に入りました。今は修士1年ですが、オクさんと私、まったく同じ学部なんです。今勉強している内容は、携帯電話やデジカメとかの中にある、チップとかの設計することをやってます。

    桃原

    早速本論に入っていきたいんですが、私たち日本人が日本に住んでると気が付かないこととかがいっぱいあると思います。、みなさんのように外国からやってきた方たちが、事前に日本ってこんな国だろうと思っていたのに、来日して発見した違いやギャップにはどんなものがありましたか。

    ダイアン

    アイルランドは人口350万人で人が少ないせいか、人々がお互いにすごい気を遣うとか、何かあったらお互いを助け合うとか、そういうことは当たり前の国で育ってきましたので、最初に日本に来た瞬間は、なんかいきなり、すごい大勢の人がいて、国の幅も面積もすごい広い国だって。で、知り合いじゃないと、お互いをあまりなんか助け合えない。けっこう日本人はサークルがあって、知り合いになったらみながすっごい優しくて、何でもなんか助けてくれると思うんですけれども、でもまったく知らない人だったら、誰か本当に困っている人がいても、あまり人が止まったり、「どうしましたか」とか助けてこない感じがして、それでなんか文化がちょっと違うと。

    桃原

    いつぐらいから自分は逆に日本に受け入れられたな、つまりサークルに自分が入ったなって気がつきましたか?

    ダイアン

    職場とかの中では、自分がいる居心地が良いスペースというか、そのサークルにずっと入っています。でも日本ではまだまだ外国人の存在が少ないということで、何て言えばいいのかな、若い人はまだいろいろ変わった考え方とか、変わったことに対してすごい受け入れやすいと思うんですけれども、ちょっと考え方はまだそこまでオープンではないという感じですね。ただそれもグローバル企業でしたら、みながだいたい考え方がオープンで、一緒に仕事できるとか、いろいろ他の国の文化とかに対して理解性が高いとか、ということは感じます。

    桃原

    オクさんも同じこと感じますか?

    オク

    ああ、ありました。先ず日本に外国人が少ないという点もあると思うんですけれども、それ以前に多くの人は外国に対しては驚くほど関心をもってないような気がします。韓国がどこにある国か知らない人にも会ったこともありますから。日本人って、気配りが多いをいわれますが、確かに「外人」に対する気配りは多いですが、同じ場所に住んでいる「仲間」として扱ってもらうのはなかなか難しいですね。
    また、日本に来る前は地理的に日本が韓国より南にある国だとずっと思っていましたが、実はそうじゃなかったのを挙げられますね。南にもあったんだけど細長くて寒いところもあるのを日本に来てテレビで天気予報を見ながらやっと気づきました(笑)。あとはまあ、日本って世界で、アメリカと並んで、お金が多くて生活豊かな、そういうイメージがあったんですね。みんなお金を自分が好きなように使えて、それで欲しいものが買えて、楽しく過ごしているんじゃないかなあというイメージがあったんですけど、来てみたらそうではなかったですね。すごい勤勉というか、お金があってもそう無駄遣いをしない。そういう人々が多いですね

    ベン

    私、オクさんとは反対の意見。日本人って、人によって違いますけど、他の国のことにはけっこう関心を持ってるっていうこと。日本に来る前は、日本では国際ニュースとか少なくて、自分の国のことばかり、例えば、スポーツの放送とかも日本人のいる試合しか放送しないとか、そういう話をいろいろ聞いていました。でも日本に来て他の国には絶対ない光景、例えばいろんな世界の言葉を教える学校とか、ネパール語とかタイ語とかまで(を見ました)。アメリカに留学しているタイ人の友達と話した時に「ええ何で? みなが他の国の言葉習ってもしょうがないじゃない」、そう言われました。だからけっこう文化とか、文化の違いについても、興味を持つ人が多いなと。

  2. 002. IT文化が発達して大きく変わったアイルランド

    オク

    僕は言いたかったのは自分が興味を持ってない国に対してでした。一人一人の個性がはっきりしていると言うべきですかね。日本の学校のシステムとも関係あると思いますが、日本は自分の好きなのを見つけて、一所懸命頑張ることができる環境が整っているように見えます。誰かが韓国ドラマを一生懸命見てて、「それ見すぎじゃないの」と言われた時「まあ俺が好きだからいいじゃないの?」っていうふうにはっきり言えるところがここ日本だと思います。そのせいか僕には日本人の顔は一人一人みんな違うように見えるんです。韓国は個人より家族がの方が強いです。その繋がりがあって。友達とか親戚とか、学校とか同じ軍隊とか地域とか。家族を含むそういうグループが強くて、その下に個人がある。(韓国)ドラマとか見たら分かると思うんですけど、いつも家族話がメインですね。親の反対で好きな人と結婚できなかったり。

    桃原

    ありがちなんだ、あれはドラマだけじゃないんだ。

    オク

    うん、まあ。結局子供に勝つ親はいないという言葉が韓国にはありますが、それでもありうる話ですね。そのくらい個人の判断に周りの人の意見が大きな影響を与えているということです。昔から「親のために」、「子供のために」といった話はあって当たり前のように耳にしています。だからかもしれないですが、ぼくから見ると韓国人の顔はそれほど変わらないような気がします。彼女も彼も、それほど変わってないような。しっかりした個性がないといえますかね。

    ダイアン

    ヨーロッパの文化は韓国とはたぶん正反対。日本はまだその真ん中にある気がします。アイルランドも60年前とか70年前は同じ感じでしたから。みなはまだ一緒に住んでいて、個人が一番とかそういうことではなかったですよね。家族がすごい大事でした。で、家族は今もすごい大事なんですけども、他の国の影響とか、アメリカの影響とか他のそのインターナショナリゼーションとか、いろいろな影響が入ってきて、文化とか国自体がいろいろが少しずつ変わってきています。アイルランドはもともとアイルランド人しかいなかった国ですから、そういう意味では島国だし、アイルランドに入ってきて何か仕事する人が少なかったですね。この20年間でアイルランドのITとかいろいろ経済がすごい強くなって、それでやっとと言うか、ヨーロッパからいっぱい人が入ってきていて、一般のアイルランド人がけっこう差別化というか、嫌がっててとかしてるんですけれども、日本も今そういう段階だと思ってます。たぶん韓国も何十年後に、すごい個人性がどんどん強くなったりすると思います。30年前には親が歳とったら一緒に住むのは当たり前でしたが、今はもう若い人は自分が好きなようにとか、たぶん半分半分になっている。日本も今すごいなんか変わって来てる。ペースがすごいスピードアップしてという感じがします。

    ベン

    日本は伝統的な社会と新しい社会が混ざってますよね。若者とサラリーマンの人が全然違うイメージですね。何で若い時はこんなに遊んでいて、いきなり会社に入ったら、サラリーマンは真面目な人にすぐ変えられるのかすごく不思議に思っているんですよ。大学生とか友達を見ると、毎日だらだらして、会社入ったら急に別人に人格がすぐ変わるのね。面白いなあと。聞いた話では、高校は大学入る受験のためにすごく頑張ってて、大学入ったらちょっとホッとして4年間休んで、会社入ったらまたもう1回頑張るという感じだから、なんか休養ですか。ちょっと休むという感じですね。

  3. 003. 昔ながらの家族は息苦しいから「もういいんじゃないの」

    桃原

    韓国がここだとするとアイルランドはそこで、その中間が日本だと。タイは今どのあたりだと思いますか。

    ベン

    たぶん日本と韓国の中間ぐらい。個性持つ人もいますけど、今の日本の若者ほどじゃない。(日本は)髪の毛を真っ赤にしたりするとか、みんながロングへアーっていう感じですね。まだそこまでではないですね。日本では、お父さんと子供の関係がなんか薄いというイメージが、仲悪いというか、あんまり互いの気持ち理解できないという家族が多いという気がします。いつもお父さんが、会社出社して毎日遅く帰って、お酒飲んで帰って、あまりお話しする機会とかなくて、そういうとこもけっこう違うかなと思いますけど。

    ダイアン

    アイルランドもたぶん、みな知らないと思うんですけれども、ヨーロッパの中では一番大家族。私の友達でも、8人9人とか多いんですよ。ただ、今アイルランドですごく問題になってきているのは、子供産まないこと。ともかく、なんか文化が早く変わってしまって、仕事がすごい大事になったというか、女性がすごい職場に出たというか、それは日本でも同じじゃないですか。すごく夜遅くまで仕事をするのは当たり前という感じですね。

    桃原

    今世界で最も少子化が進んでいるのは韓国なんだそうです。タイは?

    ベン

    私のまわりみな2人兄弟がほとんどなんですけども、まあちょっと離れたところですと、まだまだ大きい家族とかいますけど。

    桃原

    なるほどね。韓国で子供が少なくなった理由は何でしょうね。オクさんはどう思いますか?。

    オク

    たぶん、個人の重さが少しずつ大きくなってきた結果じゃないかと思います。親が反対して結婚が出来なくなったりするのは本当に極端な話であって、この頃あのようなケースを見るのは難しくなりました。子供がいなくても「あなたと私が2人で幸せすればいいんじゃないの」っていうふうに考える人が増えたんじゃないですかね。そうすると、仕事にも遊びにももっと自分のために時間を使えるのは当たり前だし。昔ながらの家族っていうのは、息苦しい面があるから多くの人たちが「もういいんじゃないの」と思い始めたかもしれませんね。

    桃原

    今日本では年金が問題だけど、みなさんの国の社会保障っていうのはけっこう整っているんですか。

    オク

    問題です。年金だけじゃなくて、健康保険とかも。資金がだんだん少なくなってるというニュースを聞いたりします。日本もあれじゃないですか、今のお年寄りは大丈夫なんですけど、このぐらい払ってこのぐらいしか貰えないとか、ですよね。

    ベン

    実際はそれだけじゃ生活足りないとか。

    桃原

    タイは社会保障だけで、例えば老後は十分足りているのかなあ。

    ベン

    でもまだ物価とか日本と比べて安いから、まだまだそういうところは。で、互いに助け合いという気持ちがまだけっこう沢山ありますし、だから何とかやっていけるんじゃないかなあと思いますけれども。仏教の国だし。

    桃原

    仏教の国ね、ああそうか。日本も仏教の国なんだけど。(笑)

    ベン

    一応パスポート書く時は、無し。日本も仏教の国と聞いた。でも実際来たら宗教がない人が多いですね。

    桃原

    アイルランドはどうですか。宗教をみんなそれぞれ持っているの。

    ダイアン

    アイルランドはすごいカトリックの国で、大変。宗教が一般の生活に影響している。カソリック教会に大反対にして生きている(人も増えている)。あまりにもいろいろ全部が駄目、これも駄目、これが駄目。結婚する前に恋人と一緒に住んじゃ駄目。なんか全部ルールがありすぎていて、それはみんなはあんまり聞きたくない。

    桃原

    離婚はできるの?

    ダイアン

    アイルランドは1997年までは、別居は出来るんですけれども、離婚することは出来ませんでした。たぶんみなアイルランドをイメージすると、イギリスの国とみんなが思っちゃって、イギリスと全然文化が違っていて、宗教も違うし、お金も違うし、全部違うんですよ。ただ最近個人意識が全然変わってきて、みなが社会に出てるから、女性が子供産むことと仕事持つことが、そんなに上手く出来ないと。じゃあ子供そんなに産みたくないという話になっちゃうから、それでその年金の問題が出て来てる。

    桃原

    でも、イギリスはかなり社会保障がシステム化されている、かなりハイレベル。アイルランドはどう。

    ダイアン

    アイルランドもそうですね、それは。ただ、例えば私もそうですけど、自分の年金を、個人でやってます。3年前から自分で。アイルランドの若い人、あんまり政府に対応はしたくないというか、最近は自分たちが、退職したら社会はどうなっているかとか、年金はもらえるかとかすごい心配で、日本も今そうだと思うんですけれども、若い人は別に、政府には頼ること、頼りにすることは出来ないから、各自分で個人でやっている。
    ただ、逆に個人性が少しずつ強くなってきているから、みなが我がままになってきたり、すごい将来が心配です。子供産みたくない理由のもうひとつは、自分たちがすごい良い人生過ごしたいから、いっぱい洋服着たい、いっぱいブランド品買いたい、いっぱいこうしたいとか、それはすごい。ヨーロッパでは、あまりにも個人性が強いというので、離婚がそれでどんどん多くなってるんですって。アイルランドは昔から何があっても離婚しない。何があっても、それは家族の問題でしょ。家族を捨てることはしない。喧嘩してもそれは家族だから仲直りすることが出来る。そうじゃないですか。アイルランドでは浮気とか、すごい少ない。だって離婚することが出来ないって分かったら、相手をすごい大事にする。私の両親もそうです。子供3人はもう大きくなってるけど、私の両親まだ手をつないで一緒に出かけたりしています。それはもう夫しかいない、ずーっと一緒にいるということです。人が育つのは環境がすごく大事ですけど、私も運命から結婚したら、一生その人と一緒にいるということは当たり前のこと。分かります? 当たり前の考え方。だから一生懸命選ぶ。そんなに簡単に結婚はしないですし、選んだらその人とずーっとすごく頑張る。離婚したら自分の人生の失敗という感覚かな。アイルランドで、どうしようもない状況をずーっと見てきた。例えば男性が暴力を振るったりしたという場合があって、それでもう本当にあまりに社会的によくなくて、その離婚がやっと導入された。でも最初は高齢者がみな投票で全部駄目駄目駄目。結局、若い人の考え方が少しずつ変わってきて、それで離婚が入ってきました。でもまだまだたぶん、離婚の比率、アイルランドはたぶん何パーセントもないと思う。

    桃原

    私その話を聞いて非常に理解できたことがひとつあります。私のアメリカ留学時代のホストファミリーがやっぱりアイリッシュ系なんですよ。だから、決して豊かでなかったけれど、みな家族は仲良かった、お互いに助け合ってたって。ホストマザーとファーザーは結婚して50年なんですけど、すっごく仲良い。もうこんな大きいお腹だし、お父さんは。お母さんもこんな大きいお尻だけど、無理してでも一生懸命手を腰に回してね、常にスキンシップを必ず欠かさず。それからどこか出かける時に、日本では、子供がいてその横にお父さん、お母さん。彼らは真ん中に先ず自分たちが手を繋ぐ。で、その横に子供なんですよ。つまりファミリーの中心に信頼しあう夫婦が真ん中にいて、そしてその横に子供たちがいる。で、アメリカって離婚率5割なんですよね。だからその中で50年も添い遂げているなんて凄いなって、感心してたんだけど

    ダイアン

    家のおばあちゃんとおじいちゃんは、私が大学1年生の時に50周年記念の結婚記念日があって、その後おばあちゃん、73歳で亡くなったんですけども、今おじいちゃんはそれですごい苦しんでて、すごーいあまりにも一緒にいたから。それを見てきた。だからそれが憧れ、子供産むか産まないか関係なく、私も絶対にそういう人生送れないと、自分の人生、個人的に失敗と思う。

    桃原

    韓国では例えば男女交際とか男女の人間関係っていうとどんな関係ですか。よく我々のイメージは、韓国は男性が男尊女卑でね、何があっても女の人がついていかないといけない国だっていうイメージが強いんですけども。

    ※以下、次回に続く。次回は、年内にアップする予定です。お楽しみに。

他のインタビューはこちら

CONTACT

M&Partners International の事業に関する
ご質問や、
各種ご相談などいつでも
お気軽にお問い合わせ下さい。
また、採用についてもお問い合わせ下さい。

お問い合わせ