ビジネスインタビューBUSSINESS INTERVIEW
第16回
福島 みずほさん
- プロフィール
- 1987年、弁護士登録、第二東京弁護士会所属。1998年7月社民党から参議院比例第一位で当選。現在、参議院議員二期目を迎える。社民党では幹事長を経て2004年より社民党党首。2009年9月から、前 内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全・少子化対策・男女共同参画)。
INDEX
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001. 働きながらの子育ては、太っ腹じゃないと!
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桃原
今日は働きながら子育てをしてこられた大先輩として、エネルギーをいただきたいと思ってきました。
今回のインタビューでは、先生が働く女性の究極のロールモデルだということで、ぜひ同じように働く女性にエールを送っていただきたいと思っているんです。 -
福島
まあ、うれしい!
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桃原
本当ですか? 光栄です!
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福島
とはいうもののロールモデルといっても、私は出来が悪くて、仕事と家事の両立がなかなかままならず……。
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桃原
そう!そこが大事なんだと思います。
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福島
そうですよね。完璧な両立なんかできない!!
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桃原
ですよね!
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福島
もちろん働いている女性でもすごくまめな人や、料理好きな人や、清潔好きな人はいますよね。
私も同じマンションの人のおうちに遊びに行って、とてもきれいで「同じ間取りとは思えない!」って思うことがよくあったから(笑)。 -
桃原
でも両立なんかできないときっぱり言っていただけると、やっぱり私だけじゃないんだと思って安心します(笑)。お子さんが小さいときは、どんな毎日でしたか?
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福島
うちは0歳児から保育所に通わせていました。毎日、彼か私かどちらかがお迎えにいかなきゃならないでしょう?
迎えに行ったほうがごはんを作って、一緒に食べながら“今日あったことの良かったことと悪かったこと”を話すのを習慣にしていました。 当時は弁護士として働いていましたが、やっぱりフルには働けないんですよ。
フルっていうのは365日24時間ということですね。だから国選弁護の刑事事件を引き受けて、夜昼なく働くという働き方は難しくなったりしましたね。
子育てのことは考えず、今日の時間も考えず、ただ仕事だけしていればいいという状況ではないわけです。 -
桃原
家をきれいにするところまでは、手が回らないですよね。
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福島
部屋が散らかっていて、汚れた食器が山のようになっているの(笑)。
だから「ママ今日疲れているから。ママがご馳走するから焼肉食べにいこ?」って。
それくらい太っ腹じゃないとたいへんですよ。 -
桃原
太っ腹というのは、ご自分の気持ちの上ですか?男性側にもそれくらい太っ腹でいて欲しいというのもあります?
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福島
それは両方ですよね。 働いているママというか、パパもそうですが、働いていれば両方の役割があるわけです。
子育てしながら働くということは、2倍働くというのではなく、ある意味ラッキーなことなんだと思うことにしました。
仕事のストレスは家で晴らして、家のストレスは仕事で晴らす。悪くいくと両方煮詰まっちゃうけれど、違う世界があるからこそ人生は2倍楽しいんだ、くらいに思わないと。
両方完璧にやろうと思うのはしんどいと思います。 -
桃原
人生の楽しみがダブル。子育て中は、一粒で二度おいしいってことですよね。
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福島
子どもがいない時期もあったから、仮に子どもがいない人生だったとしても、それはそれで良かったと思ったと思うんですよ。私、能天気だから(笑)。
ただ子どもがいると子どもが違う価値観を持ってきてくれるし、子どもがいることで損得だけじゃない考え方や、家の中で弱みも出せるような関係性ができた。それは貴重だったと思います。
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桃原
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002. ロールモデルは先輩弁護士
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桃原
仕事を持ちながら子育ても楽しもうという、そういうロールモデルになった方っていらっしゃいますか?
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福島
私自身ラッキーだったのは、女性弁護士の先輩ママがけっこういたことです。 司法試験に受かったときに合格のお祝いをしてくださった中島通子さん※1や林陽子さん※2。中島さんには確か男の子が二人いらしたはずです。角田由紀子さん※3も私より年配ですが、子どもを育てながら女性の問題などにバリバリ取り組んでいらっしゃいました。
選択的夫婦別姓や婚外子差別撤廃の問題は、私自身も子どもが生まれる前からずっと取り組んでいました。集会に行くと、弁護士の榊原富士子さん※4や原告の方たちが子連れで来ていて、みんなで遊ばせていましたね。私も子どもが生まれてからは、子連れで地方講演へ行ったりもしました。 -
桃原
それって私どもが訴えている“ワークライフインテグレート”※5という考え方に似ています。子どもを大人の世界から完全に分ける、つまり仕事とプライベートを完全に分けるとどこかに無理がくると思うのです。たとえば、ときには連れて行ってみる、ときには託児を利用するという考え方は有意義なことだと思うのですが。
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福島
働いている女の人……、男の人もそうですが、どれだけ自分の私生活を表に出せばいいのかというのはあると思います。
「子どもが熱をだして」とか「子どもがいるので……」とか、いつもいつも私生活をエクスキューズに使い過ぎると、働く場所で弱みに思われることはあると思うのです。あんまり毎回だと断る方も「子どものいる女の人は使いにくいと思われるのはいやだな」と思うでしょうし、他の人に迷惑かけるのもいやでしょう。でも子どもがいるのは事実だから。
私もしょっちゅうではないけれど、子どもをいろいろなところに連れて行きました。だからうちの子どもは、選択的夫婦別姓や民法改正、婚外子差別撤廃、性暴力、セクシャルハラスメントみたいな問題を小さいときから聞いている。今、こんな裁判やっているとか、こんな思いでやっているということも話しておいてよかったと思いますよ。
職場の飲み会みたいなときなら、たまにはパートナーに子どもを任せて参加してもいいと思います。私自身は、子どもが小さい頃は、夕方からの市民運動には参加しても二次会には行かないで帰るとか、親睦を図るのはビジネスランチにするとか工夫しましたね。
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桃原
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003. 子どもが与えてくれた“豊かな時間”
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桃原
子どもが生まれると、その子どもが母親を強くするという話があります。「あなたが生まれたおかげでお母さんは強くなったのよ」と。先生にとって、お子さんをもったことでプラスになったことって何でしょう?
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福島
娘はよく励ましてくれるんですよ。選挙中に「あなたはけっこういい仕事をしていると思うよ」みたいなメールをくれたりするんです(笑)。
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桃原
えっ、お嬢さんが?
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福島
ママっていうのが恥ずかしいみたい。マダムって言ってみたり(笑)。
小学生の頃は、娘に愚痴をこぼすと「ママ、悪いけど愚痴こぼさないでくれない? 弁護士っていやな仕事だと思っちゃうから」とか言われちゃったこともありますけど(笑)。
子どもに励まされることってありますよね。宮崎駿さんのアニメじゃないけれど、子どもは、文学や音楽や新しい価値観を持ってきてくれると思うんです。子どもからは、ゆったりとしたとても豊かな時間をプレゼントしてもらったと思います。彼も私も弁護士だったから、子どもがいなかったらモーレツに働いて、ゆっくり歩くとか、ゆっくり旅行に行くとか、静かな時間を過ごすとかは少なかったかもしれません。 -
桃原
それは、私もそうだったと思います。
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福島
子どもが生まれて、別の価値観をもつ、別の人格が世の中にいるっていうのがいいなと思っているんです。> 娘が小学校1年のときの授業参観のことです。娘は授業中に全然手を上げないんですよ。彼に「娘が全然発言しないんだけど、私、心配」といったら「君は何か不満があるか」と。「彼女は自分で考えて自分でものが言えるのだから全く心配することはない」と。
子どもって自分が生んでいるんだけれど、別人格で、別の価値観を持っていて、別の性格でしょう? それがわかって、なるほどって思ったんです。別の価値観をもつ存在と一緒に生きていくというのは、とても良かったと思います。 -
桃原
そこが男の人と違うところでしょうね。 男の人って生まれたときから子どもは別人格と思っているから。
ところが女性の場合は、自分の中に宿っていたという原点があるものだから、どこかで囲ってしまうところがある気がします。 -
福島
どこかで自分から生まれたと思っているんですけれど、全然別人格なんですよね。
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桃原
私も息子と言い争うときに「誰のおなかから生まれたと思っているんだ!」と言ってしまうときがありますから(笑)。
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福島
びっくりされてしまうかもしれないけれど、子どもが孤独から解放してくれたとも思っているんです。
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桃原
それ大きいですね! 私もこの年齢になって思うのは、明日私の人生が終わりになっても、私のDNAはこの世に残ったんだと思っているところがありますね。根源的な安心感というかアイデンティティのようなものがあります。
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福島
パートナーの存在では孤独から解放されなかったのかというと、そうではなくて。そのときも孤独から解放されたのだけれど、子どもって小さな生き物だから一緒に生きていこうとか思うじゃないですか。それでやっぱり一所懸命生きなくちゃと思うのかもしれません。
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桃原
確かにそういうところはありました。
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福島
実は私は文学少女だったので「私ってどう生きていくんだろう」とか「孤独だわ」とか思って生きていたところがあったと思うんです(笑)。「人間は肉体をもつ孤独な存在だ」とか考えていたんですよね。
でも子どもが生まれると、孤独とか思っている暇はなくなっちゃう。そういうことが全部飛んでしまって、子どもと一緒に原始的に生きるみたいな、何があっても生きていくぞという感じが、孤独から開放してくれたのかもね。
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桃原
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004. 私が楽しく子育てができた理由
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福島
子どもが生まれてまず何をしたかというと、学資保険※6に入りました。
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桃原
ああ!
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福島
たとえ男に逃げられて働けなくなっても大丈夫なように(笑)私の経済的な理由で子どもが進学できなくなったりしたらかわいそうだと思って。
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桃原
それはわかります! 働けなくなるというか、先生も子育て中は「これはできない」「あれはできない」ということが若干あったとおっしゃいましたが、そのときは忸怩たる思いでしたか?
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福島
それは自分が選択したことだから、まあ仕方がないっていう感じでしたか。その中で工夫しようっていう感じでしたね。
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桃原
まあ、いつか波がくるよっていう感じでしょうか?
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福島
後悔のようなものはありませんでしたね。子育てで得たものすごく莫大なものがあるから。 子育てってリズムがあるからそれはそれで楽しいんだけれど、子どもが病気になったときなどは仕事をキャンセルしなきゃいけないとか、裁判の期日をキャンセルしなきゃならないとか、人に迷惑をかけることもある。
私も子どもが急に病気になって、仕事をキャンセルして、電車よりもタクシーの方が早いと思ったら、渋滞に巻き込まれてしまって……。そのときの1分1分が本当に「ああっ!」って思ってしまいました。 小さい子どもを預けて働いているときって、帰宅時間にピリピリしてしまうけれども、それも後から思えば一時期のことなんですよね。 -
桃原
ちなみに先生が子育てで一番たいへんな時期っていつでした?
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福島
私の場合は、子どもが小学校に入るまででした。保育園に必ず何時までに迎えにいかなきゃならないというのがありましたし。
もちろん、思春期だってたいへんなことはありましたけれど、その時期は話せばわかりますから。それに中学・高校になれば食べることは自分でできるでしょう?
でも小さい頃は、どうやってごはんを食べさせるかが問題でした。 小学校に入ってからは3年生までは学童クラブ※7に入れました。私、学童に入れるために引っ越しましたから。 -
桃原
うちもそうなんですよ! 学童に入れるために目黒区に引っ越しました。
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福島
でしょう!孟母三遷じゃなくてうちは1回しか引っ越さなかったけれど、学童に安心して通わせられるところにマンションを買いました。
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桃原
うちの学童にもそういう人ばっかりが集まってきていましたよ。学童に入れるからここに越したっていうお母さんが多くて、連帯感がありました。
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福島
そうなんですよね。私自身が子育てをあまりたいへんだと思わなかったのは、0歳児から預けていた保育園でのパパママのつきあいと、学童クラブのパパママのつきあいとで、拡大家族のようだったからなんですよね。
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桃原
拡大家族っていい言葉ですね。
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福島
子どもがいろんなおうちで夕ごはんを食べている(笑)。忙しい時期は、月曜は誰ちゃんち、火曜は誰ちゃんちって、毎日違うおうちでごはんを食べさせてもらった。お迎えに行くと、「まあ、いいからあがって」と私も食べて、飲んでみたいなおつきあいがあったんです。
「源氏ボタルがいるから一緒に見に行こう」ってドライブに連れて行ってもらったりもしました。子育てパパやママと本当に仲良くして、楽しかったですよね。 -
桃原
素晴らしい。私の主張は「子育ては集団的安全保障だ」というものなんです。ひとりで頑張るものじゃない。
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福島
そうですよね
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桃原
「誰かが危機のときは助けにいってあげるって発想でやらなきゃだめよ」ってみんなに言っているんです。ひとりで抱えようとするからポキッと折れちゃう。
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福島
そうねえ。もともと保育所とか学童クラブというものは集団保育がしやすいし。それに専業主婦のお母さんにもずいぶんお世話になりました。子どもが遊びに行ったり、迷惑かけたりしましたね。
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桃原
働く母と専業主婦の母って、学校のPTA活動などでは結構対立したりしてしまうとは思うのですが、できるだけ相互に連帯するような形ができたらいいなと思っています。
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福島
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005. 子育てを最大のレクリエーションにしたい
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福島
今働いている人や、子どもを生もうかなと思っている人に何か伝えたいとしたら、子どもがいない人生もいいし、子どもを生んで育てるのもいいと。
子どもを生んで育てることが、ハンディキャップにならないですむ社会にしたいなと考えています。現在、妊娠・出産したことで7割の女性が職場をやめているというのが実情です。年齢別の働く女性の割合は、あいかわらずM字型で、子育て世代が低いんですよね。これをなんとか底上げして台形にしたいんです。
子どもがいると確かに夕ごはんの心配をしなくちゃいけないという点では負担だけれど、それがガチッとお母さんの肩、あるいはお父さんの肩にかかってこないような社会になるように、少子化担当大臣、男女共同参画担当大臣としてやっていきたいと思っています。 -
桃原
先生、それってすばらしいですね!
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福島
子育ては最大のレクリエーションって思ったほうがいいんですよ。
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桃原
おっしゃるとおりです。
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福島
子どもはいろいろなものをプレゼントしてくれたし、もってくる教科書や言ってくることって、勉強になったなあって思うんですよね。今は年齢の離れた姉妹……というと向こうは迷惑かな(笑)的につきあっていけるしね。
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桃原
女の子はとくにそうですよね。
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福島
いまだに一緒に映画に行ったりコンサートに行ったりしていますよ。
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桃原
それはうらやましいわ。息子は親となんか恥ずかしいみたいで。
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福島
子育てがレクリエーションで楽しいよって思えるような環境ができればいいので、子ども手当てと学童クラブ・保育所の充実、あとは育児介護休業法の改正。パパ・ママ育休プラス※8で男性の育児休業の取得状況ももっと上がると本当にいいですよね。
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桃原
切り札は何だと思いますか?
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福島
やっぱり子育てがハンディキャップや負担だけにならない社会をつくること。そのためには、子ども手当ての充実や高校の授業料の無償化でしょうか。
ヨーロッパでは大学も無料です。日本はそこまではできなくても、社会が子育てを応援することも大事です。子どもを育てることを個人的なこととして、おまえひとりで背負えといわれたらたいへん。赤ちゃんは生まれたときは3キロ、育って10キロ。10キロの米俵を一人で持つのはつらいけれど、みんなで持つときっと楽しいと。
フランスに行って思ったのは、子どもをもっているママがイキイキしていること。子育て支援もさることながら、こういうことも大切だと思うんです。 -
桃原
働くママって、つい「つらい」「たいへん」と言ってしまうんですよね。それって日本人的な習性で、本当は楽しいこともいっぱいあるくせに口では「つらいのよ」って言ってしまう。
でもそれをあんまり言い過ぎると、それを真に受けて後ろに続く人が「そんなにつらいのなら、私は子どもをもつのをやめようかしら」と思ってしまう。「そんなに貧乏になるのかしら?」っていう人もいます。そんなに貧乏にはならないって(笑)。とにかく子どもをもつことのハードルを高く考えなければいいのになあって思います。 -
福島
実際、愚痴りたくなったり、たいへんだって思うことを減らしていくのも政治の仕事だから、そういうことをもう少し応援できるようにしたいと思っています。
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福島
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006. 社会を変えていくためにできること
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福島
働いている人って、女性も子どもなんかいないふりして働いていたり、男性も妻も子もいないかのようにして働くようなところがある。家族があることを常に表に出すのは問題だけれども、私生活があって子どもがいることも事実だから、それがいい形で口にだせると逆に社会を変えていけると思います。
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桃原
そういっていただけると、心強いです。
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福島
私個人としては、子どもがいて良かったなと本当に思います。でなかったら、もうちょっと単純だったかも。あとは働きすぎで死んでいたかも。
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桃原
それは本当にそうかもしれない。私も同じです。
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福島
子どもがいると、ちょっと休むものねえ。
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桃原
確かにスローペースになりますよね。それをスローペースと肯定するのか、落ちていくと思って否定して、イライラするのかっていうのもあると思います。
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福島
人間ってあらゆるものがネタになるから。たとえば企業で商品開発をしている人に子どもがいたら、それはきっと役立つし、製品とかになると思うのだけれど。
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桃原
私が子どもをもつかどうかで悩んでいる人に言っているのは、仕事をしている、いないにかかわらず「子どもなんかもたなきゃ良かった」って言う人には一人も会ったこといないっていうことです。だから、すくんでいるくらいならやってみればって。圧力はあんまりかけないで……って言われちゃうんですけど(笑)。 それと気になっているのは、最近、急に働かなきゃならなくなった人が増えたことです。
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福島
リーマンショック以降の問題ですよね。それには、待機児童をなんとかしなきゃならない。
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桃原
もちろんそれもあるのですが、保育園や学童の待機というのは小学校3年生くらいまでの子の問題ですよね。それだけではなく、私が感じているのはもっと大きな子どもがいる40代女性の問題なんです。
というのは、一度子育てなどで仕事をやめた40代の女性から、とにかく採用されないという訴えをよく聞くからです。パソコンなどのスキルがないがために復帰できないって言うんです。 また、それ以前に仕事の面接に何を着て言ったらいいのかわからないという人もいる。ハローワークで何を答えたらいいのかもわからない。30代はまだいいのですが、40代はそういう人が目立ちます。 -
福島
我孫子市長だった福島浩彦さんと話していて、彼は市長時代に3年間、35~46歳くらいの女性のみの職員募集というのをやったんですって。そのときは3人採用するのに800人来たと。
さきほど私は働く女性の割合をM字型から台形にしたいと思っているといいましたが、やる気があって、生活の苦しみもわかって、人生がそんなに単純じゃないこともわかって、本当にパワーもあって、仕事をやりたいと思っている人っていっぱいいると思うんですよ。
いったんは仕事をやめたのだけれど、また働きたいと思っている人を応援する仕組みを作りたいんです。たとえば食品の安全とか、子どもの事故とかって生活感がないとわからないことも多いじゃないですか。仕事をする上で、子育てで培った生活感はあったほうがいいことも絶対あるんですよ。
自治体によっては、ワーク・ライフ・バランス※9に取り組んでいる企業の認証制度や、公共事業入札時に加点するということもやっているところもあります。そういうことを国のレベルでもやったら、企業マインドがガラッと変わるので、取り組んでいきたいと思います。 -
桃原
ぜひ、がんばってください。究極のロールモデルですから!
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福島
※1 中島通子さん…1967年弁護士登録。働く女性のための権利確立や男女雇用機会均等法の実現などに尽力。2007年ハワイでシュノーケリング中に亡くなった。
※2 林陽子さん…1983年弁護士登録。女性の権利問題に取り組んでいる。2008年1月に国連女子差別撤退委員会の委員に就任。
※3 角田由紀子さん…1975年弁護士登録。セクシャルハラスメントやDV問題などに取り組んでいる。
※4 榊原富士子さん…1981年弁護士登録。婚外子差別問題や離婚、DV問題に取り組んでいる。
※5 ワークライフインテグレート…働くこととプライベートを分けて考えるのではなく、高い次元で統合し、両方を流動的に行うことで相乗効果を狙おうとする考え方。
※6 学資保険…子どもの教育資金等の貯蓄を目的とした保険。高校入学時、大学入学時などに合せて祝い金や満期金が給付される仕組み。契約者に万一のことがあった場合には、月々の支払いが免除される契約もある。
※7 学童保育…保護者が働いているなどで日中家庭にいない児童(小学校3年生以下)に対し、放課後や長期休暇など保護者に代わって保育する仕組み。地域によって、入所定員、保育時間、指導員数などに差がある。
※8 パパ・ママ育休プラス…父母が共に育児休暇をとる場合に、休暇期間を延長できる制度。現在、どちらかの一人がとる場合は1歳までだが、二人でとると1歳2ヶ月まで延長できる。
※9 ワークライフバランス…仕事とプライベートの調和を図ることで、働きながら子プライベートも充実させられるように、職場や社会環境を整えること。
※このインタビューは、平成22年春に収録いたしました。